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国際ロータリー第2530地区 社会奉仕委員会

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震災・原発事故と福島の女性たち 2015

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震災と女性                                  濱田千恵子【福島市】
 福島市内は3.11の地震により、ライフラインの切断、食料品、ガソリン、灯油等の生活必需品の不足等により耐乏生活を強いられ、一部家屋等の倒壊や破損等が見られ、確かに大震災による被災者かも知れません。

 しかし、同じ福島県でも津波により家屋や財産をすべて消失したり、原発事故による放射能の驚異から逃れるため、着のみ着のまま漂流者のようにして、福島市で避難生活を余儀なくされている多くの方たちとは影響の度合いが異なります。

 大震災後、メディアを通して伝えられる惨状を目の当たりにし、大自然の驚異に驚愕しつつ、
いたたまれず感情の高まりと同時に支援活動を開始しました。

 たまたま、国際的組織である奉仕団体の地域団体に所属していたので、避難所の現状を視察した結果、会員間で協力し大量の支援物資を避難所に届ける作業を行いました。

 避難所では被災者の状態像(地域別、男女別、年齢別、病状等)の把握が十分でなかったため、支援物資の供給が適切に行われず大量に供給される食品などは廃棄されたり、女性が日常的に必要なものは殆ど支給の対象になっていなかったりしており、やはり生活の主催者である女性の意向を踏まえた支援物資の選択と供給が重要ではないかと感じました。

 また、このような非常事態でも縦割り行政が厳然と存在しており相互応援体制が円滑に行われていない例が見られました。

 例えば県が指定した避難所と市が指定した避難所では格差があり不足物資等もお互い融通し合えば効果的ではないかと思われますが、市民から要望しても県が指定した避難所の事情については、市は承知していないので県に話して欲しいなど行政間の情報伝達がスムーズではなく、避難者本位の支援体制ではなかったため、非常時には早急に通達等で一体的な支援体制を構築すべきだと痛感しました。

 先日、飯館村長の菅野典雄氏とお話しする機会がありましたが、原発の直接被災地は別として、避難者はやがては住み慣れた地域に戻ることを前提にしており、そのため、住民票は異動させず避難先での住民票発行を可能にするよう国に要望しているとのことでした。住民が慣れ親しんだコミュニティの再生のため、住民の知恵、情熱、思いを活用するなど地方に裁量権を与えて欲しいと結んでいました。

 私たちは避難者の支援物資の供給にかかわってきましたが、現在は、将来の生活見通しがつかないまま、仮設住宅や借り上げ住宅に避難を余儀なくされている方たちの自立支援が課題であるとし、浪江町、社会福祉法人いのちの電話、医療法人生愛会、福島大学関係者等と連携を図りながら、定期的に避難者の健康維持のための自立訓練、ヨーガ、孤独解消のための傾聴ボランティアの派遣、交流事業などを継続的に行っています。

 活動する中で「高い放射能の中で一生懸命、水汲をしてくれた福島の中学生が心配です。」と避難されているWさんの他者を思いやる崇高な精神に心が打たれ、「頑張ろう」の掛け声もむなしいこの頃ですが、共助の輪を広げながら自立に向けての支援活動の継続が求められます。